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『103』西暦2000年に突入とテロの幕開け   河東丈二

nakata513

更新日:2022年5月24日


1996年、「上海ファイブ」という中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの5カ国による協力体制が出来上がります。これは、中国がソ連から独立した中央アジアの国々と結んだ協定で、今の「一帯一路」政策の始まりとなります。中国は、ソ連が崩壊した後、新しく独立した中央アジアの国々を再編しようとしています。これはいうなれば昔のシルクロードをもう一度確保しようとする動きです。


 1999年には欧州単一通貨「ユーロ」が導入され、日銀がゼロ金利政策を始めて日本の停滞の幕が開きます。


 2000年3月、教皇ヨハネ・パウロ2世が特別ミサを行い、シスマ(東方教会との分裂)、十字軍、異端審問など、過去のローマ教会の過ちを全て認めました。これはとても勇気のいることだと思います。


 20世紀の最後はすごく平和に終わるように見えますが、1973年と1998年の主要国のGDPの世界シェアを比べてみると、アメリカは22.0%から21.9%と、ほとんど変わっていません。一方、ソ連は9.4%から3.4%へと大幅に減りガタガタになっています。UKやドイツ、フランスもシェアを落としています。ヨーロッパ全体で見ると、29.1%から22.6%に減りました。


 一方、アジアは24.1%から41.0%へと急上昇しています。これは中国が鄧小平によって近代化路線を始めて、毛沢東の2回の革命による遅れを取り戻したということが大きいです。このようにGDPのシェアという大きい数字で大きい流れを地域ごとに見ていくと、歴史の流れがよく分かります。


 21世紀の暗雲の始まりは、やはり2001年9月のアメリカにおける同時多発テロです。これによってアメリカはアフガニスタンに侵攻し、イラク戦争を始めます。2008年にはリーマン・ショックが起き、2010年からはアラブ諸国で民主化を求める「アラブの春」が広がり、日本では2011年に東日本大震災が起きました。そして政治の分野でも、ブレグジットやトランプ大統領の登場など、多くの人にとって思いも寄らない出来事が起きています。21世紀は悪いことばかりが起きているように見えます。


 しかし、長い目で見れば、世界は確実に良くなっています。例えば、国連が展開しているSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)のような動きもあります。『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』(日経BP)という本にも書いてありますが、実はデータで見ると、国連などの努力により、世界の貧しい人の数は圧倒的に減っています。教育を受ける人の数も増えています。基本的なところでは、世界は良くなっているのです。新型コロナウイルスという100年に1度あるかないかというパンデミックも生じて、明日の世界は大変なようにも思えます。


 こうした出来事、エピソードだけを見ると、未来は暗いのではないかと思ってしまうかもしれません。しかし、数字で見たら21世紀のこれまでの20年間、世界は確実に良くなっているということを、覚えておきましょう。

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